金利タイプの選択は“後悔の分かれ道”
住宅ローンを組むとき、多くの人が最初にぶつかるのが「固定金利にするか、変動金利にするか」という選択です。
とくに私のような40代のサラリーマンにとっては、家計の変化、老後のこと、教育費…と将来を見据える判断材料が増えてくるタイミング。だからこそ、この選択があとあとまで尾を引くこともあります。
「結局どちらがいいのか?」という問いに、絶対的な正解はありません。
でも、不動産業界に20年身を置き、実際に自分も住宅ローンを組んだ“オジ”として、少しでも参考になる視点をお伝えできればと思います。
固定金利とは?メリットと注意点
返済額が変わらない安心感
固定金利の最大のメリットは、将来にわたって返済額が変わらないこと。
「この先、金利が上がったら…」と不安になることもなく、家計の予測が立てやすくなります。
特にお子さんがいる家庭や、収入がある程度決まっている方にとっては、この“安心感”は何にも代えがたい武器になります。
私も、正直ここに一番惹かれました。
金利上昇リスクに強いが、初期金利は高め
ただし、安心を買うにはコストがかかります。
変動金利に比べて、固定金利は一般的にスタート時の金利が高め。つまり、“リスクヘッジ”の保険料を先に払っているようなイメージです。
「最終的に総返済額はどうか?」と冷静に計算してみると、変動金利のほうが得になるケースもあります。
変動金利とは?メリットとリスク
今は金利が安い、でも将来は?
変動金利の一番の魅力は、やはり「今、金利が低い」こと。
初期の返済額を抑えられるため、繰上げ返済を前提に考える方や、現金を少しでも多く手元に残したい方には有力な選択肢になります。
ただし、これは“今の金利”が前提。将来的に金利が上昇すれば、当然返済額も増えます。変動金利を選ぶ方は、そこまで含めた「覚悟」もセットで必要ですね。
5年ルール・125%ルールとは?
金融機関によっては、一定の仕組みで返済額の急激な増加を防いでいます。
代表的なのが「5年ルール」と「125%ルール」。
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5年ルール:返済額の見直しは5年に1度
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125%ルール:前回返済額の1.25倍までしか増えない
これを聞くと「安心じゃん」と思う方も多いですが、実は元本がなかなか減らず、将来まとめて返済額が増えるリスクもあるため注意が必要です。
どちらがいいのか?ライフスタイル別に考える
安定志向 or 攻め志向|あなたはどちら?
「家計を守ることを最優先したい」なら固定金利。
「少しリスクを取ってでも節約&繰上げで得をしたい」なら変動金利。
結局、住宅ローンの金利タイプは、“金利”よりも“性格と価値観”の問題です。
自分がどんな暮らし方をしたいか、が決め手になります。
収入・家計状況・今後の働き方で変わる選択
たとえば、これから独立を考えている人にとっては、収入が不安定になる可能性もあるため、固定金利の安心感が心強いはず。
一方、共働き世帯で、比較的家計に余裕があるなら、変動金利でスタートして繰上げ返済していく戦略もありです。
どちらが“良い”ではなく、「今の自分の状況に合っているか」を丁寧に見極めていきたいところですね。
私の結論:不動産業界20年のオジが語るリアル
私はこう選んだ|理由と振り返り
私が住宅ローンを組んだとき、悩みに悩んだ末、変動金利を選びました。
理由はシンプルで、「今の金利がとにかく低かった」からです。
固定と比較すると、最初の返済額が明らかに安く、月々の負担を抑えて生活に余裕を持たせたかった。
当時は、共働きで家計にも多少のゆとりがあり、「もし金利が上がっても、繰り上げ返済でカバーできるだろう」と考えていました。
実際、3年ほどは余裕のある月にまとまった返済をすることで、元本を着実に減らしていくことができました。
ただし、振り返って思うのは、「金利が上がったときにどう対応するか」という“覚悟”も一緒に背負っていた、ということです。
この“覚悟”があれば、変動金利は十分に使いこなせる選択肢になると思います。
何より、当時の自分にとって「家計の流動性を持ちたかった」「現金を手元に残しておきたかった」ことが一番の理由でした。
そういう意味で、変動金利は“リスクある分、自由もある”という選択肢だったと思います。
ただし、日銀が2025年1月に政策金利を0.25%(→0.5%)に引き上げて以来、変動金利も上昇傾向にあり、今後の金利上昇による影響が注視し、各家庭の経済状況を踏まえて判断していく必要があります。
金利トレンド(2022〜2025年)の変動傾向
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2022年頃:変動金利は0.3〜0.4%
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2023年末〜2024年:緩やかに上昇
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2025年1月:日銀が政策金利+0.5%に引き上げ → 変動金利にも影響
- 2025年6月現状:0.6〜0.7%台が相場
今後も金利上昇が続く可能性はありますが、短期的に見ればまだ変動金利には魅力があり、長期的には保証でカバーできる目安が整っている状態と言えるでしょう。
決断は“納得感”から
結局、住宅ローンの“正解”はありません。
ただし、自分の状況と向き合い、「なぜそう選んだのか」に納得できていれば、それが正解になります。
今回の記事が、あなたの選択を後押しし、“納得できる決断”へのヒントとなれば幸いです。
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